SM第二話2

スカル団は何というか、スカという単語に変なイントネーションを追加するのだろうか? 変な違和感を抱いてしまうのだけれど。出来ることなら辞めてほしいくらいだ。耳がとても気持ち悪くなってしまう。

「そういう問題じゃないんですよね」

一歩前に踏み出したのは、イリマさんだった。

イリマさんは表情には出していないものの、言葉の語気がどこか強く見えた。それはそうかもしれない。――聞いた話によれば、ぬしポケモンはキャプテンがそれぞれ熱意をもって育てるポケモンらしい。そんな情熱と愛情を注いだポケモンを盗むなどとなっては、怒るのも当然かもしれない。

イリマさんの言葉に怯むことなく、スカル団は話を続ける。

「何スカしているんでスカ? そんなスカして、許されると思っているんでスカ? 俺たちを止めることが出来ると思っているんでスカ?」

「ああ、出来るとは思っていないね。少なくとも、お前たちみたいな連中は」

そう言って、イリマさんはスーパーボールを投げた。

ボールの中から飛び出てきたのは、コラッタだった。

しかしそのコラッタは――僕がカントーで腐るほど見てきたあの姿とは違っていた。

まず、身体の色が黒い。そして、髭を生やしていてどこか悪そうな表情をしている。悪そう、というよりも悪だくみを働いているような――と言えばいいのだろうか。

いずれにせよ、その姿は見たことが無かった。

「イリマさん……そのコラッタは?」

思わず、僕は質問をしていた。

「これはリージョンフォルム。カントーやほかの地方では見られる姿があるかもしれないけれど、ここアローラでは独自の生態系を築いているからか、普通とは違う姿をしている。まあ、アローラ人からすればこれが普通の姿なのだけれど」

若干早口ではあったが、イリマさんが親切に解答してくれた。これはありがたい。リージョンフォルム、か。そういえばククイ博士が言っていたな、それがこのリージョンフォルムなのか。確かに違う、その姿を僕は目に焼き付けるのだった。

「さあ、君たちもポケモンを出して。僕とサンくん、そしてムーンちゃんとハウくんで、ダブルバトルをしよう。そのほうが手っ取り早く相手をなぎ倒すことが出来るからね」

「まるで俺たちを倒せるような発言でスカ……。倒せると思っているんでスカ!?」

「さあ、どうだろうねえ」

イリマさんはスカル団に笑みを浮かべる。

まるでスカル団など眼中になかったかのように。

そして、イリマさんは右手にある――リングをスカル団に見せつける。

それは何か宝石のようなものがついているリングだった。

それを見ていたスカル団は慌てだす。

「やべえ……。あいつ、Zリングを持っているぞ。ということは、キャプテンか!?」

「何だい、そんなことも解らなかったのかな?」

イリマさんは、構えだす。

まるで何かポーズをとるかのように。

「キャプテン、イリマ! カプ・コケコに選ばれしキャプテンの名のもとに、悪事を働くスカル団を倒す!」

そして、僕たちとイリマさんバーサススカル団のポケモンバトルが幕を開けるのだった――!

 

◇◇◇

 

スカル団はそれぞれヤングースを繰り出した。なぜヤングースと解ったかと言えば、それはろとろとがうまいタイミングでそのポケモンの名前を言ってくれたからだ。一応データ自体は入っていないけれど、メレメレ島のポケモンは名前程度ならば解るらしい。それは有難いことだった。

「ヤングース、『たいあたり』だ!」

二人は同時にそう言った。

僕はとにかく、ニャビーに指示をおくらないと。ニャビーはじっと僕を見つめている。

「ええと、こういう時は……。ニャビー、避けて、『ひのこ』!」

ニャビーは僕の指示を聞いて頷くと、毛づくろいを始めた。

……え、ええ?? 僕は確かにひのこを指示したはずだったのに……。もしかして、ダメだった? ニャビーがなついていないから?

そんな想像を張り巡らせていたけれど――残念ながら今は戦闘中。相手のヤングースがどんどん迫ってきている。

「うわああ! ニャビー、避けて! 避けて!」

「いや、大丈夫だよ」

そう言ったのは、イリマさんだった。

イリマさんの言葉を聞いて、僕はニャビーを信じることにした。

少しして――ニャビーは、火球を生み出した。

その火球は小さい彼の身体の半分くらいの大きさで、それを見たヤングースはあまりの大きさに困惑していた。

「いけえ! ニャビー!」

そして、ニャビーは僕の言葉に答えるかのように、大きな火球をヤングースに向けて撃ち放った。

 

 

ヤングース二匹が倒れて積み重なっているのを見て、僕は勝負に勝ったことを確信した。

「お、俺たちのヤングースがいとも簡単に……!」

「サンくん、強いね!」

そう言ったのはムーンだった。見ると、ムーンとハウの二人もスカル団に勝利しているようだ。

「くっそう……。なんでスカ? 聞いてないですよ、こんな強いガキどもは?」

「もしかして……島めぐりをする連中スカ?」

「その通りだよ、スカル団の君たち」

頷いて、イリマさんは答える。

そうして、スカル団はイリマさんの言葉を聞いて一目散に逃げ出した――ってなってくれれば、はっきり言ってちょうど良かったのだけれど。

「こうなったら、ボスから借りたポケモンで一掃するしかないんでスカら!」

そう言って、スカル団の一人が手に取ったハイパーボールを投げようと持ち構えた――。