SM第二話

次の日。

僕とハウはしまキングと呼ばれる人に連れ出されることになった。

ハラという男性は、ハウを連れて僕の家にやってきて、「君が島めぐりを希望する人間だったな」と言って僕についてくるよう言ってきた。

僕は母親に挨拶をして、家を後にする。

そうしてハラさんについていって、向かった先にあったのは大きな舞台のような場所だった。

そしてその舞台には、すでに一人の少女が立っている。ハラさんたちがやってくるのを見て、こちらに手を振っていた。

「おーい、ハウくん! はやく、こっちこっち!」

「あれえ? ムーンちゃんだ。ムーンちゃんも、受けるんだ。島めぐりの試練!」

ハウが反応をしているけれど、当然のように僕は知らない少女だ。

ハラさんが舞台に上り、続いて僕とハウが舞台に上がる。

そうして、三人がちょうど舞台に横並びする形になった。

「……さて、ここに今年の島巡りをする三人が揃ったわけだが、先ず君たちには最初のポケモンを選んでもらおう。それは、この島めぐりをしていくうえで、君たちのパートナーとなるポケモンだ」

そう言ってハラさんは三つのモンスターボールを僕たちに差し出した。

「ここには三種類のポケモンが入っている。君たちが好きなポケモンを選ぶがいい」

そう言って、ハラさんはモンスターボールを投げた。

そしてモンスターボールの中から三匹のポケモンがそれぞれ出てきた。

茶色の丸っこいポケモンはモクロー。僕たちを見つめて、首を傾げている。

黒い猫のようなポケモンはニャビー。毛づくろいをしているのか、ぼくたちの視線を気にすることなく毛をなめていた。

青い身体のポケモンはアシマリ。アピールをしているのか、鼻から大きなバルーンを作り出している。

「さあ、何を選ぶか。君たちで決めてくれたまえ、けれど、ポケモンは一匹づつしかいないから、同じポケモンは選択できないぞ」

「私はアシマリちゃん!」

先にそういったのはムーンだった。ムーンはアシマリを抱えると、そのまま持ち上げた。

アシマリもムーンのことを主人と認めているのか、彼女に顔をすりすりさせていた。

「あ、ムーンちゃん、ずるい! ……うーん、どうしようかな。サン、君はどうする?」

「うーん、僕は……」

そうして、僕はニャビーの前でしゃがみ込む。ニャビーは毛づくろいをやめてこちらを見つめていたが、僕はそのままニャビーの頭を撫でた。

「僕はニャビーにするよ。ハウは? ニャビーじゃなくて大丈夫?」

「俺はもともとモクローに決めていたから、別にいいよー」

モクローを抱きかかえて、ハウは笑みを浮かべる。

「これからよろしくねー、モクロー?」

そうして僕たちはそれぞれパートナーを手に入れることが出来たのだった。

「それぞれポケモンを選んでもらったところで、島めぐりについて簡単に説明しよう!」

ハラさんはそう言って、僕たちの注目をひいた。

そしてその言葉通り、僕たちはその言葉を聞いてハラさんに目線を合わせた。

「それぞれポケモンを選んでもらったところで、島めぐりについて簡単に説明しよう!」

ハラさんはそう言って、僕たちの注目をひいた。

そしてその言葉通り、僕たちはその言葉を聞いてハラさんに目線を合わせた。

「島めぐりとは名前の通り、このアローラの四つの島をめぐることだ。そして、アローラにはキャプテンとしまキング、しまクイーンが居る!」

「ハラさんのような、しまキングということだね」

気付けば隣にはククイ博士が立っていた。

「ククイ博士。いつの間に……?」

「まあまあ、それは別にいいじゃないか。ハラさん、続きを」

「うむ」

ハラさんは頷くと、さらに話を続ける。

「そして、しまキング・しまクイーン全員を倒すと晴れてチャンピオンとして認められる」

「チャンピオン……」

僕はそれを聞いて、胸が高鳴るのを感じた。

アローラにはポケモンリーグが無い、ということは聞いていた。だから冒険をしたくても、あまりモチベーションが上がるようなことが無い。だから普通に過ごすしかないのだろう、と。そう思っていた。

しかしアローラには島めぐりがある。ポケモンリーグとも違う、また別の仕組み。

それを聞いた僕は、今にも飛び出したくなるような――そんな感じだった。

「さて、そうしてメレメレ島には一つ試練が存在する。その試練こそが……」

「ハラさん!」

ハラさんの言葉に割りいるように、声が聞こえた。

見るとこちらに走ってくる一人の青年が見える。年齢は恐らく僕たちより三つ四つ上くらいに見える。恰好から推測すると、ある程度裕福な家庭なのかもしれない。

「おお、イリマ。どうした。今ちょうどお前の試練の説明を……」

「大変なんです!」

しかしながら、イリマと呼ばれた人はハラさんの言葉に割り入って、

「……大変なんです、ハラさん。これは、メレメレ島全体の、いや、アローラ地方全体のことに関わる重要なことで……」

「何があったか解らない。先ずは整理をつけてから話をしてくれないか?」

「そうだぜ、イリマ。ほら、この『おいしいみず』を飲んで!」

ククイ博士が差し出した『おいしいみず』を飲むイリマさん。

それを飲んでようやく落ち着いたのか、ゆっくりと息を整えていく。

「ようやく、落ち着きました。ありがとうございます、ククイ博士」

「別にお礼を言われるようなことじゃない。それで、どうしたんだい? 君がそんなに慌てているなんて、珍しいことじゃないか」

イリマさんはそれを聞いて、目を丸くする。

どうやら一瞬、自分がここになぜ走ってきたのかを忘れてしまっていたようだった。

そして、イリマさんはゆっくりと――しかしながらまだ焦りは見えていたけれど――僕たちに告げた。

「そうだ、大変なんです! ぬしポケモンが……スカル団に捕まってしまいました」

「何だと!」

それを聞いたハラさんは慌てて僕たちに声をかける。

「……済まない、重大なことが起きてしまった。申し訳ないが、ここは一度家に戻っていただいて――」

「その必要は無いんじゃないかな、ハラさん!」

そう言ったのはククイ博士だった。

ハラさんがそちらを向くと、ククイ博士はウインクをして頷く。

「……ククイ博士。それはいったい? 試練は出来ないのですぞ。それに、ぬしポケモンがスカル団に捕まったのならば、急いで助けにいかねばなりません。彼奴らはポケモンを売り捌くことで資金源にしていると言われていますからな」

「簡単なことだよ」

そう言って、ククイ博士は僕たちに視線を向ける。

「彼らに、スカル団を見つけてもらえばいい。そうして、もし彼らがスカル団を倒しぬしポケモンを取り戻すことが出来れば……、それは試練達成と言えるのではないかな?」

「……成程。それならば問題はない。どうだ、イリマ。それで問題は?」

「ええ、大丈夫です。スカル団はハウオリシティのボートエリアへ向かった、という情報があります。急いでそちらへ向かいましょう!」

僕たちは揃って大きく頷くと、イリマさんの後を追いかけていくのだった。

 

◇◇◇

 

ハウオリシティは巨大な港町だ。このメレメレ島の観光の一つでもあり、多くの人が住んでいる場所としても知られている。また、ほかの地方からアローラ地方への玄関口としても成り立っているためか、多くの観光客がこの町にやってきているのだ。

その南側に位置するボートエリアには、船乗り場がある。造船所も兼ねているその場所は船乗り場にしては大きな建物となっている。メンテナンスも出来るように大きな船乗り場になっているのだ。

「……ここにスカル団が?」

「ああ、聞き込みした情報ではここに居ると言われているが……、あれか!」

イリマさんは突然大声を上げて走っていく。

目標は恐らく、埠頭にあった黒いヨット。

白い帆には髑髏をモチーフにしたと思われるものが描かれていた。

「あれは、あれが、スカル団のモチーフだよ!」

ハウがそう続ける。

「ということはあそこに居るのが……!」

ヨットの傍には、スカル団と思われるタンクトップ姿の男女が四人。

そして何か重々しい容器を抱えていた。

「待て、お前たち」

そう言ったのは、イリマさんだった。

イリマさんの声に気付いたのか、スカル団の片割れがこちらを向いた。その荷物は相当重たいものなのか、汗を相当かいている様子だった。

「……何だよ、こちとら忙しいんでスカら! 手を出してほしくないでスカら!」

「そうだ、そうだ! こっちは重要な任務を受けていて、それが漸く終わるんでスカら。手を出してほしくないでスカら!」