第十三話後編

 

さて。

なんだか騒がしくなってきているが、僕たちは僕たちで行動していかねばならない。

いずれにせよ僕たちにとってその考えは正しいものだったと思うし、現状正しいか正しくないかを考える時間など無いに等しい。

通路を走っていく僕たちだったが、意外にも誰にも遭遇することは無かった。誰かと一回くらいは遭遇して戦闘に発展するものかと思っていたが、どうやらその予想は杞憂に終わってしまうようだった。

「……どうやら戦闘が思ったより激化しているようだ。これなら何とか逃げることが出来るはず……」

「やあ」

声が聞こえた。

その声は出来ることなら聞きたくなかった声だった。

「バルト・イルファ……っ!」

「私もいまーす」

そう言って、バルト・イルファの隣に居た白いワンピースの女性が手を上げた。

今まで見たことの無い人間だったから、少々驚いたけれど、バルト・イルファの隣に居るということは彼と同じ類の存在なのだろう。

バルト・イルファに比べて若干幼い容姿をしているそれは、バルト・イルファの妹のような存在にも見えた。

「……そういえば、君たちに紹介していなかったね。これは僕の妹だよ。名前はロマ。ロマ・イルファ。きっと君たちとはまた出会うことになるだろうからね。先ずは最初の自己紹介、といったところから始めようじゃないか」

「メアリーをどこにやった?」

僕はそんなこと関係なかった。

ただメアリーがどこに消えてしまったのか、それを知りたかった。

バルト・イルファは溜息を吐き、

「まあ。そう思うのは仕方ないことだよね。メアリーは君にとって、いや、正確に言えば君たちにとって大切な存在だ。そんな彼女がいったいどこに消えてしまったのか? それは気になることだというのは、充分に理解できるよ。いや、十二分に理解できる。けれど、僕も上司が居る。あるお方に仕えている。そのお方の方針には逆らえない。はっきり言わせてもらうけれど、いやいやではあったんだよ? 僕だって、女性をああいう風にするのは嫌だった。いや、ほんとうにそうだったんだ。それくらい理解してもらってもいいと思うのだけれどねえ?」

「お兄様。それ以上の発言は……。あのお方に何を言われるか解りませんよ。もしかしたら裏切り行為と思われる可能性も……」

「行為? そんなまさか。僕はあのお方に忠誠を誓っている。決してそんなことはしないよ」

「……お前はいったい、誰に仕えているんだ……。まさか、スノーフォグの王、リュージュだというのか?」

「だとしたら、どうする?」

バルト・イルファは否定も肯定もしなかった。

ただ僕の言葉を受け入れることしかしなかった。

「……お兄様。ここでお話をしている時間は無いものかと」

それを聞いたバルト・イルファは相槌を打った。

「ああ、そうだね。そうかもしれない。だったら、急ごう。僕たちがここにやってきた、本来の目的を果たすために」

「本来の目的、だと?」

「ああ、それは簡単なことだ。……一つだけ忠告しておこう。君たち、大急ぎでここから脱出したほうがいいと思うよ? どうせここはもう持たないから。あとできるなら、なるべく遠くに逃げたほうがいいね。商人の集団にも、出来ることなら関わらないほうがいい」

「バルト・イルファ。なぜおまえがそのことを……!」

「君たちは監視されているのだよ」

バルト・イルファは踵を返し、ただ一言だけそう言った。

「君は予言の勇者だ。それゆえに、世界から注目を浴びている。そして、その注目は君が思っている以上に高いのだということを、君はまだ理解しきっていない。それだけを、先ずは心にとどめておいてもらえればいいのだけれどね」

そして、バルト・イルファとロマ・イルファはそのまま僕たちの前から姿を消した。

バルト・イルファたちと別れて。

なおも僕たちは前に進んでいた。確かにバルト・イルファの言っていた言葉が妙に引っ掛かるけれど、それでも前に進むしかなかった。逃げることが前提ではあったのは確かだ。けれど、それよりも先に僕はバルト・イルファにどうしても聞きたいことがあった。

「……バルト・イルファにメアリーの行き先を聞きたい、だと?」

そう言ったのは、ルーシーだった。

「そうだ。バルト・イルファはメアリーを奪った張本人。ということはメアリーをどこに連れて行ったのか解るはずだろう? それに、シュラス錬金術研究所でもバルト・イルファは登場しなかった。それは即ち、バルト・イルファがメアリーとともに一緒にいたということを示す証にならないか。だから、僕はバルト・イルファに問いかけたかった。でも、あいつはさっさと姿を消した……!」

「でも、考えてみろよ、フル。あの場で僕たちとバルト・イルファが戦いになったとして、僕たちはバルト・イルファを倒すことが出来たか?」

その言葉に、僕は何も言えなかった。

確かにバルト・イルファと僕たちは一度として戦ったことが無い。それに隣には戦力未知数の彼の妹、ロマも居た。二人で戦って、僕たちは四人。戦力では二倍の差がつけられているが、それはあくまでも人数の話。単純に一個人が持つ戦闘力で比べれば、おそらくバルト・イルファのほうが圧倒的だろう。まだその差を埋めることは出来ない。

「じゃあ、じゃあ……。メアリーのことはあきらめろ、と言いたいのかよ?」

「そうは言っていないだろう。つまり、こういうことだよ。今はあきらめるしかない。そして、バルト・イルファを何とか倒すしかない。あとは……そうだな。世界を何とかめぐるか。それにしても少しくらいヒントが欲しいことも事実と言えば事実だけれど……」

僕たちが得ているメアリーの場所についてのヒント。

それはバルト・イルファ自身が示した寒い場所にある邪教の教会。

ただそれだけのヒントだったけれど、場所を示すものとしてはそれ以上のものは無い。

「寒い場所で邪教の教会、と言われるとなかなか難しいものがあるけれど」

そう話を切り出したのはシュルツさんだった。

「実はあれから調べてみたんだ。どこに行けばいいのか、と。そのヒントだけで結びつくものはないか……ということをね。そしたら、一個だけ見つかったものがある」

「あったんですか、邪教の教会が……」

こくり、とシュルツさんは頷いた。

「ああ。その通りだよ。チャール島にあるフォーズ教。その名のとおり、メタモルフォーズを神の使者と位置付けて信仰している邪教が居る。そして、その教会、その本部がある場所こそがチャール島だ。……まあ、それがほんとうにメアリーさんの居る場所かどうかは定かではないが、この世界にある邪教と言えばその程度しかない」

「フル」

ルーシーの言葉を聞いて、僕は彼のほうを向いた。

「この言葉、一度確かめてみる必要があるんじゃないのか? まあ、どこまで確かかはっきりとはしていない。きっとシュルツさんも書物とか文献とか口伝とか……そういう不確かなデータでここまでたどり着いたのだと思う。けれど、百聞は一見に如かず、ともいうだろ。まずはその場所に行ってみて、ほんとうにメアリーが居るかどうか、確かめてみる必要があるんじゃないのか。闇雲に進むよりかは、そちらのほうがベターな選択だとは思うけれど」

「……そうだな」

ルーシーの言葉は長い言葉ではあった。けれど、的確なアドバイスであることもまた確かだった。

僕は頷き、さらに前に進む。

「……じゃあ、一先ずここを出ることにしよう。バルト・イルファの言葉通りに従うのはちょっと気に入らないけれど……。今の僕たちには、それがベターな選択のようだ」

そうして僕たちは前に進む。

けれどさっきのように、不確かな考えではない。

一筋だけ見えてきた光の先に進むために、はっきりとした考えをもって進む。

目的はただ一つ。メアリーを、いち早く助けるために……。

 

◇◇◇

 

そして。

アドハムは窮地に立たされていた。

あれほどたくさんいた兵士ももう彼を守る数人程の近衛兵しか居らず、しかもその殆どがバルト・イルファとロマ・イルファ――イルファ兄妹によって倒されたものだった。

「……まさか、イルファ兄妹が二人とも投入されるとは。それほどまでに我々は早急に対処すべき存在だと認定された、ということかね?」

「ええ。そうでしょうね。まあ、少なくとも僕はそこまで深いことは知りませんけれど。いずれにせよさっさと諦めたほうがいいとは思いますよ? あのお方が、裏切った人間をどう対処するかはあなただって知らないことでもないでしょう?」

「そうだ。だが、それで恐れていては今回のことなど進めることがあるものか」

アドハムはバルト・イルファを睨みつける。

バルト・イルファは溜息を吐いて、右手を彼らに差し出した。

目の前に立っていた彼らに炎の魔法が射出されたのはちょうどその時だった。

兵士は各々悲鳴を上げて自らの顔を手で覆い隠す。それでも炎の勢いが止まることは無い。それぞれは膝から崩れ落ち、それでも炎の勢いはとどまるところを知らない。地面を何とか回転して止めようと試みるがそんなことは不可能だと言ってもいい。

「無理だよ。そんな足掻きをして僕の炎が消えるとでも? 僕の炎魔法は特別だからね。そんな簡単に消えてしまう炎なんて使わないのさ」

「……何と酷いことを」

「だって仕方ないでしょう? 君たちは国を、スノーフォグを裏切った。だから言ったまでの話だ。そして実際行動に移したからわざわざ僕がここまで出てきて粛清しているということ。ただそれだけ」

確かに。

言葉を、真実を羅列すればその通りだ。

「だからといって……!」

「アドハム大佐。敬意を表して話をするけれど、あなた、いったい何をしたくて国を裏切ったんですか? 予言の勇者の力を借りたかったから? それとも予言の勇者を活用しようと考えていた国を出し抜きたかったから?」

「……」

アドハムは答えない。

それを見たバルト・イルファは笑みを浮かべる。

「答えられない。答えられないでしょうねえ! そんな簡単にボロを出してくれるとはこちらだって思っていませんよ。だってあなたは知略の将軍だ。知略のアドハムともいわれていたくらいですからね。……もっとも、裏では何か隠しているのではないかという噂が出回っていたくらいですが」

バルト・イルファの話は続く。

「でも、だからといってあなたのことを許すつもりなんて到底ありませんよ。僕にも、そしてスノーフォグ自体にも。そもそもあの国の方針からして裏切り者をそう簡単に許すはずがありません。あっと、それはあなた自身が良く知ることですよね? だって一時期はあなた自身が裏切り者の粛清を行っていたくらいなのですから」

「……だから、何だというのだ……! 貴様、バルト・イルファ、お前は何も感じないのか? 人間を殺すことについて。あれが、リュージュが言っているのは偽りの平和だ。あいつが言っていることを忠実にこなしたとしても、世界に平和は訪れんぞ!」

「だから、」

「は?」

「だから、どうしたというのです?」

バルト・イルファはにっこりと笑みを浮かべた。

まるで新しい玩具を与えられた子供のように。

まるで何も知らない無垢な子供のように。

アドハムを見下しているその表情を、彼は気に入らなかった。

彼の足元に静かに倒れこんでいる彼の部下たちのためにも、せめて一矢報いたかった。

「……バルト・イルファ。貴様、こんなことをして……。お前たちの考えは確実に世界を平和にするものではない! むしろその逆だ。世界を滅ぼしかねないことだぞ!」

「僕を説得するつもりですか? いや、この場合は説得ではありませんね。改心、なのかなあ? いずれにせよ、そんな薄っぺらい説得は無意味ですよ。むしろ、そんなことで解決するとでも? あなた、だとすれば勘違いも甚だしい。それに、僕の実力を見縊っていると言ってもいい。……まあ、だからこそ今回の反乱を起こしたのかもしれませんけれど」

溜息を吐いて、バルト・イルファは言った。

アドハムは腰につけていた剣に手をかけた。

それを見て、バルト・イルファは頷く。

「ああ。戦うのですね? だとしたらどうぞ。僕は刃を持たない人間とは戦いたくありません。出来ることなら臨戦態勢をとっている人間と戦いたいですし」

舐めている。

バルト・イルファは、戦闘を舐めている。

アドハムはそう思っていた。だからこそ、彼はバルト・イルファを許せなかった。

そもそもスノーフォグの軍について、簡単に説明する必要があるだろう。スノーフォグの軍は歩兵が優秀な軍隊として有名だった。ほかの二国が優秀な魔術師で軍隊を率いているのに対し、スノーフォグは未だに非魔術師をトップに置いていた。その時点でほかの国と違っている点と言えるだろう。

しかし、スノーフォグは優秀な魔術師を持っていないわけではなかった。バルト・イルファがその始まりと言われていた。

魔術師。それは人工的に作り出すことも出来るし、もともと自然に――正確に言えば、魔術師の家系から――生まれることもある。実際は後者が大半を占めており、その家系は元をただすと神ガラムドの血筋――祈祷師の血筋をひいているといえるだろう。

そしてバルト・イルファはスノーフォグが秘密裡に作り上げた、世界で最初の人工的に作り上げた魔術師だった。

「……魔術師風情が、軍の、戦いのノウハウも知らないで! ずけずけと戦場に上がり込みおって……。そして、そう見下すと? ふざけるな!」

「別に僕はあなたの人格そのものを否定するつもりはありませんが……正確に言えば、それは僕のせいではありません。時代のせいですよ、アドハム大佐」

悲しい表情で、バルト・イルファはアドハムを見つめた。

「若者が、魔術師が、何が解るというのだ! そんな解ったような眼で、私を見るなああああああああああああ!!」

そして。

剣を抜いたアドハムはバルト・イルファに切りかかった。

だが。

彼の剣が、バルト・イルファに届くことは無かった。

直後、彼の視界は水中に沈んでいったからだった。

「忘れていたかどうか解りませんが」

左から声が聞こえた。

そこに立っていたのは白いワンピースの少女――ロマ・イルファだった。

ロマ・イルファは冷ややかな視線を送りつつも。笑みを浮かべていた。

「……私も戦いの相手として、存在しているのですよ、アドハムさん?」

そうして、アドハムはそのまま水の檻に閉じ込められ――そのまま意識を失った。

 

◇◇◇

 

「アドハムが死んだか」

リュージュは王の間にて報告を受けていた。

「アドハムは、最後までバルト・イルファに盾突き、反逆する意志が見られたために水死させたとのことです。詳細を確認しますか?」

「いや、いい。別にわざわざ人の死に様なんて確認したくない」

そう言ってリュージュは部下の報告を切り捨てると、窓から外を眺めた。

外は二つの月が見えていた。

「あの二つの月は、今日も我々を見つめている。我々が月を見つめているとき、月もまた我々を見つめている……。ふん、哲学とは難儀なものだ」

リュージュは目を瞑る。

「私はこれから少しの間眠る。絶対にこの部屋に誰も通すなよ」

「はっ」

敬礼をして、部下の男は部屋を立ち去って行った。

 

◇◇◇

 

僕たちがバルト・イルファに出会ってから少しして。

漸くその迷宮めいた場所から脱出した直ぐの出来事だった。

メタモルフォーズたちによって、アドハムの居城はいとも簡単に破壊されたのだった。

僕たちが居るにも関わらず、僕たちに攻撃をしてくるメタモルフォーズは一匹たりともいなかった。まるで今回は僕たちがターゲットではないと暗に示しているようだった。

「……メタモルフォーズたちのターゲットは、やはりアドハムだったということか……?」

「それにしても。バルト・イルファの言葉を真剣に受け止めると、これからあの商人たちのボディーガードをしないほうがいいのかもしれないな。もしかしたら、俺たちが原因で狙われる可能性も十分に有り得る」

言ったのはルーシーだった。

そして、その考えは僕も一緒だった。これ以上、他人には迷惑をかけられない。

だから、僕はシュルツさんに言った。

「シュルツさん、大変言い辛いのですが……」

「何を言っているんだ。まさか、こんなところまできて僕と離れるとは言い出さないだろうね?」

「え……?」

「だから、言っているんだ」

シュルツさんは溜息を吐いて、改めて僕たちに言った。

「僕もここまで来たら乗り掛かった舟だよ。僕もメタモルフォーズにはいろいろと未練があるからね……。まあ、はたから見ればただの勘違いと言われるかもしれないけれど、それでも僕にも戦う理由がある。それに、足も必要だろ?」

ちょうどその時だった。

シュルツさんの竜馬車が、僕たちのところにやってきたのは。

「……竜馬車はほかの馬車と違ってスピードが出る。さすがにトラック程のスピードは出ないけれど……。それでも、馬車に比べれば段違いだと思うよ。それに、徒歩でこのスノーフォグを、世界を歩くつもりだとするならば、それは少々無謀なことだと思うな」

やれやれと言った感じでシュルツさんはドラゴンの頭を撫でる。

ドラゴンは頭を撫でられてとても嬉しそうだった。

「……フル。確かにその通りじゃないか?」

ルーシーも賛同していた。

そしてレイナについても――もう表情を見た限りでは、何も言うことは無かった。

僕は頷く。

「シュルツさん、お願いできますか。僕たちのメンバーに」

「ああ、よろしく頼むよ」

こくり、と頷いたシュルツさんを見て、僕は彼に右手を差し出した。

そしてシュルツさんも右手を差し出して、僕たちは固い握手を交わすのだった。

 

◇◇◇

 

「これからどうなさるおつもりですか?」

メタモルフォーズの背に乗っていたバルト・イルファは、ロマの言葉を聞いて彼女のほうを向いた。

ロマはバルト・イルファの隣に、彼を見つめるように座っていた。

いつも彼女はこうだった。バルト・イルファとともに行動し、バルト・イルファの選択に追随する。

だから、彼の選択イコールロマの選択ということになる。

「……そうだね。僕としても彼らの行動には目を見張るものがあると思うけれど……、それ以前に僕たちはリュージュ様にお仕えしている身。そうともなれば結論は直ぐに見いだせるものだと思うけれど?」

「お兄様としては追いかけたい、ということでしょうか」

ロマははっきりとそう言った。

「そういうことになるね。興味がわいた、とでも言えばいいかな。ほんとうは任務をきちんとこなさないといけないのだけれど」

「いえ。別にお兄様を悪く言っているつもりはございません。ただ、私はただ、お兄様の考えをお聞きしたかっただけなのです。お兄様がどのような行動をとられるのかが、気になって……」

「まあ、そうだね。僕の考えはつまり、そういうことだよ。今から戻ったとしても、どうせ報告は別の誰かがしているだろうからね。それに、リュージュ様も僕たちの行動を、逐一とは言わずとも監視魔法で確認していることだろうし」

「それでは。やはり、予言の勇者を追いかけることはしない、と」

「出来ないなあ。それはやはりリュージュ様への裏切りになってしまう。それだけは避けておきたい。だって、僕たちはリュージュ様に作られ、リュージュ様のために生きている。そうだろう?」

ロマは頷く。

それが相槌であるのか、肯定であるのかバルト・イルファにはいまいち判別がつかなかった。

「……とにかく、僕は考えをまとめているということだ。いずれにせよ、予言の勇者が次にどういう行動をとるのかはとても気になるけれどね。もし次に行くとすれば……」

そう言って、バルト・イルファは立ち上がり――呟くように続けた。

「東にある港町にして、スノーフォグの首都。ヤンバイトだろうね」

そして、彼らを乗せたメタモルフォーズもまた、東に向かって飛び去っていくのだった。